目次
標準化とは
標準と標準化
標準とは、「関連する人々の間で利益または利便が校正に得られるように、統一し、または単純化する目的で、もの(生産活動の産出物)及びもの以外(組織、責任権限、システム、方法など)について定めた取り決め」(JIS Z 8002:2006)である。
規格とは、「標準のうち、物のサービスに直接関係する技術的事項(性能や仕様)を文章によって定めた取り決め」をいう。
標準化とは、「実在の問題または起こる可能性がある問題に関して、与えらえた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通に、かつ、繰り返して使用するための記述事項を確立する活動」(JIS Z 8002:2006)である。
標準化の目的
①目的適合性
特定の条件下で、複数の製品、方法またはサービスが所定の目的を果たすことである。
例:日本工業規格(JIS)に適合した製品へのマーク表示(JISマーク制度)
②互換性
製品、方法またはサービスが同じ要求事項を満たしながら、別のものに置き換えられて使用できること、である。
例:ボルト、ナット、蛍光灯、ランプ
③相互理解の促進
相互理解を助けて便益をもたらすことである。
例:用語・記号・製図法の共通化、安全標識、国際単位(SI)系など。
④多様性の調整
対多数の必要性を満たすように、製品や方法またはサービスのサイズ・形式を最適なものに選択することである。
例:乾電池の単1~単5
⑤安全性
容認できない障害のリスクを少なくすることである。
例:ヘルメット、シートベルト
⑥両立性
特定の条件下で、複数の製品、方法またはサービスが相互に不当な影響を及ぼすことなく、それぞれの要求事項を満たしながら、ともに使用できるようにすることである。
例:携帯電話とペースメーカーの関係
⑦環境保護
製品、プロセスおよびサービスそれ自体およびその運用によって生じる容認できない被害から環境を守ることである。
⑧製品保護
使用中、輸送中、保管上および気候上の好ましくない条件またはその他の好ましくない条件から製品を守ることである。
業務に関する標準、品物に関する標準
標準と規格
標準には ”業務に関する標準” と ”品物に関する標準” がある。後者を規格と呼ぶことがある。標準のことを規格と呼ぶことが一般的である。
社内標準、社内規格
社内標準(社内規格)とは、「個々の会社内で会社の運営、成果物などに関して定めた標準」(JIS Z 8002:2006)をいう。
社内標準化の目的
①品質の安定と向上
顧客への信頼の保証、品質のばらつきを抑える。
②コストの低減
少ない標準部品で多様化製品の開発に対処する。
③能率向上と業務の効率化
最適な仕事のやり方、業務のやり方をルール化する。
④情報伝達の手段
経営組織からの伝達手段、技術財産として蓄積する。効率化、管理の方法を伝達する。
⑤安全と衛生、健康および生命の保護
労働災害を未然に防止する。製品自体の安全性を確保する。
⑤技術の改善
標準作業した結果を分析し、定めた標準が適切であるかを判断して改善する。
⑦人材の育成
教育訓練を活用することで、従業員が仕事を効率よく理解し習得できる。
社内標準の体系
①規定(規程)
組織や業務の内容・手順・手続き・方法n関する事項について定めたもの、である。
②規格
品物にいうての製造、検査、サービスなどの技術的事項について定めたもの、である。
③標準
工程ごと、あるいは製品ごとに必要な技術的事項を定めたもの(技術標準)と、作業条件、作業方法、管理方法、使用材料、使用設備、その他の注意事項などに関する基準を定めたもの(作業標準)がある。
④要領書・手順書・マニュアル
各業務について、それを実施するときの手引き、参考、指針となるような事項をまとめたもの、である。
⑤仕様書
材料・製品・工具・設備などについて、要求する特定の形状・構造・寸法・成分・能力・製造方法・試験方法などを定めたもの、である。(表:作成中)
作業標準
作業標準とは、「作業の目的、作業条件(使用材料、設備・器具、作業環境など)、作業方法(安全確保を含む)、作業結果の確認方法(品質、数量の自己点検など)を示した標準」(JIS Z 8002:2006)である。一般に、作業指図書、作業基準書、作業要領書、作業マニュアルとも呼ばれる。個々人が決められたルールどおりの作業することで全体としての効率が向上する。
具体的な内容としては、
1)適用範囲、さぎょうの目的
2)使用原材料・部品
3)使用設備・機器
4)作業方法・作業条件・作業上の注意事項
5)作業時間
6)作業原単位
7)設備、治工具の保全・点検
8)作業人員、作業資格
などが記述される。
作成上の要点は、
1)作業の要点をおさえていること
2)結果とやり方の両面から作業を規定すること
3)具体的な作業のやり方を書くこと
4)実行可能なものにすること
5)前後工程で落ちがないこと
6)異常のときの処置も記入しておくこと
(作業者、職場リーダーのとるべき処置と権限を規定する)
である。
いろいろな標準
①国際規格
代表的なものに、ISO規格(International Organization for Standardization:国際標準化機構)や、IEC規格(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)などがある。
②地域規格
特定地域内で適用される規格である。ヨーロッパには、EN規格(欧州)、CEN規格(欧州標準化委員会)、CENELEC規格(欧州電気標準化委員会)などがある。
③国家規格
わが国では、日本産業規格(JIS)の制定・改廃と、そのJISに基づく認証制度で ”JISマーク表示制度” の実施という二本柱を中心に産業標準化が進められている。
④団体規格
国家規格と社内標準の中間にあって、国家規格を補完し、公共標準としての役割であり、製造業者、流通販売業者、使用者・消費者の利便に供することで社会の繁栄に寄与しようとするもの、である。
⑤社内標準(社内規格)
製品の品質に直接かかわるような標準・規格に関しては、国家規格などとの整合を図ることが必要である。
参考文献:「QC検定受験テキスト 4級」, 細谷克也ほか, 日科技連