目次
検査とは
検査とは、「品物またはサービスの一つ以上の特性値に対して、測定試験、検定、ゲージ合わせなどを行って、規定要求事項と比較して、適合しているかどうかを判定する活動」をいう。
試験とは、「品物またはサービスの特性または性質を測定、定量化、または分類するために行われる実験」をいう。検査には試験することに加えて、「品質判定基準と比較する」「個々の品物の適合品(良品)・不適合品(不良品)の判定をする」「ロットの合格・不合格を判定する」という段階が含まれる。
検査を行う行為には、
1)検査方法(試験方法、検査のやり方)を決める。
2)検査を実施して判定し、不適合品の処置を行う。処置を明確にして消費者にわたらないようにする。
3)検査結果などの情報を製造部門などにフィードバックする。
の三つが含まれる。
適合・不適合
適合とは、「要求事項(規格、顧客などの要求事項)を満たしていこと」である。不適合とは、「要求事項を満たしていないこと」である。適合品は良品、不適合品は不良品と呼ばれることが多い。
ロットの合格・不合格
ロットとは、「サンプリングの対象となる母集団として本質的に同じ条件で構成された、母集団の明確に分けられた部分」をいう。全数検査とは、「選定された特性についての、対象とするグループ内全てのアイテムに対する検査」である。抜取検査とは、「対象とするグループからアイテムを抜き取って行う検査」である。計数1回抜取検査とは、「ロットからサンプルをだた1回抜き取り、サンプルを試験して不適合品の数をかぞえて合格判定個数と比較し、そのロットの合格・不合格の判定を行う検査」である。
検査の種類
1)実施する段階(生産する段階)による分類
①受入検査(購入検査)
原材料、部品または製品あるいは加工を依頼したものなどについて、依頼先から提出されたロットを受け入れてよいかどうかを判定するために行う検査である。購入検査は供給者に品質管理を積極的に行う意欲を高めさせる狙いがある。
②工程内検査(中間検査、工程間検査)
工場内において、半製品をある工程から次の工程に移動してもよいかどうかを判定するために行う検査である。中間検査、工程間検査とも呼ばれる。
③最終検査
でき上った品物が、製品として要求事項を満足しているかどうかを判定するために行う検査である。設計どおりであるかどうかを決める最後の関所になる。
④出荷検査
製品を出荷する際に行う検査である。輸送中に破損、劣化が起こらないように梱包条件についてチェックすることも含まれる。発送前に注文の商品が間違いなくそろっているか確認することも出荷検査である。
2)検査方法による分類
①全数検査
全数検査しなければ品質保証できないとき、経済的な損失が大きいとき、人名に影響があるとき、品物一つひとつについて特性値の試験が必要なとき、に行われる。
②抜取検査
破壊検査をするとき、多数/多量の品物があるとき、連続体/液体/粉体/流体の品物のとき、に行われる。
③無試験検査
他からの試験に代わる品質情報・技術情報に基づいて、サンプルの試験を省略する検査である。
④間接検査
受入検査で供給側のロットごとの検査成績を必要に応じて確認することにより、受入側の測定・試験を省略する検査である。
3)検査の性質による分類
①破壊検査
品物を破壊するか、商品価値が下がるような方法で行う試験を伴う検査である。寿命試験、加速劣化試験、破壊強度試験などは全数検査は不可能であり、抜取検査を実施するしかない。
②非破壊検査
品物を破壊することなく、検査する方法である。
③官能検査
視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚などによって判断する検査である。官能検査を正しく行うには、検査員の訓練と検査環境の整備が必要である。
④自主検査
製造部門が自分たちの製造した製品について自主的に行う検査である。
4)実施する場所による分類
①定位置検査
一定の位置を決めて行う検査である。品物を一箇所に集めてこの方法で行うほうが経済的な場合が多い。
②巡回検査
検査員が製造現場を巡回して品物を検査する方法である。半製品の場合などは製造時間の短出につながる。
③持込検査
生産者が品物を発注先に納入する場合、自社では検査を行わず、発注先の工場に持ち込んで受入検査を受ける方法である。
参考文献:「QC検定受験テキスト 4級」, 細谷克也ほか, 日科技連