ここでいうドメインとは、独自URLを買いましょうということではないです。まあ、買ってしまえば済むということでない方のドメインになります。経営学における会社ドメイン、事業ドメインの方を指します。経営理念やミッションやビジョンを定義した後に、会社ドメインを定義していきます。事業ドメインは会社ドメインの部分集合になり、会社ドメインに包摂されるものです。ドメインを定義しておけば、会社や事業部の事業範囲(顧客、商品、差別化内容/提供価値)が明確にできて、次の手を考えやすくなります。また、定義の範囲が狭すぎると、会社が立ち行かなくなったときに、どうして良いかわからなくなります。
さっさと、ドメインの説明をしてしまいましょう。手っ取り早く言うと、ドメインとは誰に何をどの様に提供するのか、を定義するものになります。「お客様は誰で?、会社の商品やサービスは何で?、お客様にとっての商品やサービスの価値は何か?」を定義していくのです。ドメイン定義の成功のカギは、定義に使う言葉の抽象度を上げることなのです。次の経営者が成長戦略立案をするために必要になってきます。
ここでよく引用されるのが、アメリカの鉄道会社が衰退していった原因です。このドメイン定義に失敗した例として扱われています。よく「レビットの近視眼」と言われているものになります。下にウェブサイトのマーケティングキャンパスからの引用を載せますが、まさにこれです。
その例として一時は米国を代表する大企業を輩出しながら急速に衰退していった鉄道を挙げ、鉄道会社は自らを人や貨物の輸送業者だと定義せず、鉄道業者と定義してしまい、それが理由で旅客や貨物などの市場が急拡大する中で、それらをトラック、バス、飛行機など鉄道以外の輸送機器を使う後発の企業に奪われて衰退していった、と解説しておるんじゃ。もし鉄道会社が自身の定義を輸送業者としていたら、圧倒的な資金とブランドのアドバンテージを駆使して、トラックやバスを使う輸送会社、航空会社、あるいは旅行会社に進化できたはずじゃ、とな。
マーケティングキャンパス:https://marketing-campus.jp/
ドメイン定義が狭すぎると、成長できない会社になってしまいます。社会や環境や技術の変化は会社の脅威となりますが、その波にうまく乗れれば、会社を成長させることができます。経営者は、常に社会や技術の変化にアンテナを立てておかなければなりません。