普段の生活のなかで自分の本能には気づきませんよね。生活する上で意識して決定することは多岐に亘ります。友達関係、仕事の進め方、昼定食をどれにするか、何時に帰るか、いろいろあります。こういうことは、自分の意思で決定していると思いますよね。なので、意識を支配する本能に気づくことはほとんどありません。でも、意識を支配する自分や他人の本能を上手に使うことができれば、自分のパフォーマンスや組織のパフォーマンスを楽に上げることができるそうです。
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五つのヒトの本能
生まれながらの本能は、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の三つだそうです。成長して自我に目覚めるようになると、これに加えて「自己保存」「統一性、一貫性」の本能が加わるそうです。これら併せて五つの本能を上手に使えれば自分や組織のパフォーマンスを上げられます。
本能がパフォーマンスを下げるメカニズム
人間関係なら相手を好きになれば、パフォーマンスも上げられそうです。しかし、相手を嫌いになると、すべてを否定したくなり、その人と居場所を共有することも避けるようになり、共同で何もできなくなります。結果として自分のパフォーマンスを下げることにつながります。
さて、相手を嫌いになる原因は相手にありそうですが、それは自分の本能の仕業なのです。好みは人それぞれで良いのです。しかし、相手の行動や考え方が、自分の基準と大きくずれていると、それだけで拒絶したくなるのです。自分の意見と反対のことを言う人も嫌いになりなすね。よく上司や同僚とソリが合わないといくのも、価値観や考え方が違うことが原因です。大きな違いがあると、本能の「統一性、一貫性」から外れ、さらに「自己保存」の本能が働き、「嫌いだから避けよう」ということになります。
本能を利用して個人のパフォーマンスを上げる方法
この様な特性をもつ本能を意識しながら先入観を取り去って、相手の話を聞くと意外と良い人だなと思うこともあります。意見が合わなくても「嫌い」と「違い」は別物だと意識して付き合えば、嫌いの感情がなくなるそうです。相手の立場になって違いを認めてみる、ことが重要だそうです。「嫌い」の感情を抑えることができれば、共同作業に苦が無くなりパフォーマンスも上がるでしょう。
本能を利用して組織のパフォーマンスを上げる方法
組織の基本単位は上司と部下ですね。嫌いな上司の下では、何もかもが嫌になりパフォーマンスが上がらないどころか、会社に行くのも嫌になります。そんな体験をしている人もいるでしょう。組織のパフォーマンスを上げる責任は上司/マネージャーにあるので、その人に向けて書いてみます。
まず、最もやってはいけないことは、部下に恐怖心を植え付ける形で組織を運営することです。部下に対して高圧的な態度で接することも同様です。この様な環境におかれた部下は、上司が嫌いになり、組織全体のパフォーマンスが下がります。脳には「自己保存」「統一性、一貫性」の本能があります。「自己保存」の本能が強く働くと自分を守るために、上司を嫌いになり、さらには上司を排除しようとさえするのです。なんとかしようとしても、部下の対応は限られるので追い詰められます。そんな部下が多い組織のパフォーマンスはダダ下がりになるでしょう。
さて、どうすればよいかと言うと、上司には「相手の話に耳を傾ける力」「相手の立場に立って考える力」「自分の立場を捨てられる器の大きさ」が求められるのです。そんなことに努力が、人の上に立つ立場の人間には必要なのです。やってみましょう。
参考文献 「脳に悪い七つの習慣」 林成之 幻冬舎新書