収益率を上げるための方策には、いろいろあると思いますが、まずは、「規模の経済」が有名なのでしょう。とにかく、売上をでかくする。そうすれば、利益率が上がって、損益分岐点も下がって、会社は上手く回り出すって考え方です。さて、何故って思いませんか?
売上高が大きくなるということは、仕入れ高が上がるので値切りが入る。売上高が大きくなるということは、配送でトラックに載せる商品個数を上げられるので、商品一個あたりに配送費が減らせる。いっぱい売れているので、広告の効率も上がってくる。ってことで、経費が下がって、爆発的に利益が上がってくる。
下の絵を見てもらうと、それが分かりやすいです。左のグラフは規模の経済が無い場合になります。売上高が上がっていっても、一個当たりの変動費はかわりません。損益分岐点を超えれば安定的な経営は望めます。しかし、努力を重ねて利益は努力に比例するだけって感じです。そこで、規模の経済があれば、売上高が大きくなるほど経費が下がって、利益は努力×努力に比例するって感じになります。ウハウハになります。
しかし、良いことばかりではありません。規模の経済があるので、経営者はとにかく売上目標を高く設定しがちです。会社の実力を着実に上げていくために、ストレッチした目標を掲げることは問題ありませんが、大きすぎる目標は、会社のブラック化につながります。また、売上高だけに注目すると、会社の方向や、社会の動向、消費者の変化、新規参入の脅威、代替商品の出現など、会社を襲う脅威に目が向かなくなることが多いと言われます。なので、、、「規模の経済」は、薬になりますが、効きすぎ/使いすぎになると、麻薬になるのかもしれません。